クリスマス戦記

まったく、現在のクリスマスはけしからぬものである。


そもそもクリスマスとは、St.ニコラスの善行により、子供たちにプレゼントを贈る習慣が生まれた(だったと思う)ものである。
私はキリスト教系のミッションスクールに通っていたが、若い恋人たちが二人で楽しむ習慣があるなど、学校では1度たりとも言われた覚えがない。

というより、こんなに付き合っている人々で世の中溢れているとは思っていなかった。
高校を卒業してから、女性と話す確立が格段に増えて、周りに結構付き合っている人間がいることに狼狽えて居るばかりの私には、クリスマスイブをやり過ごす術を知らなかった。
クリスマスイブをやり過ごすために久しぶりに入った寿司屋のバイト先で、「彼女がいないなら、友だちと過ごせばいいじゃん。」と言われるまで気付かなかった私である。
かくして、モテないだけの善良な私は、バイトへと駆り立てられたのである。


しかし、ちゃんとクリスマスを有効に利用する方法を知れば、なんてことはないのである。
普段家の家事を母と妹×2に任せっぱなしの私には、St.ニコラスよろしくプレゼントを与えることで汚名返上の機会を与えられたのである。


問題は何を買うかにある。母親などはセンスが良すぎてまともに買ってもいらないと言われそうなので、本人が欲しいと言ってたものを買ってくるが、妹たちはそうはいかない。何が欲しいと言う話をあまりしていない上、何を買えばいいかわかっても喜んでもらえるかわからない。
去年上の妹には手帳を送ったが、後日母から「あの子にはあの子のキャラがあるんだよ」とやんわりとキャラに合わない物を買ったことを諭されたこともある。難しいことこの上ない。

下の妹はぱっと思いついたが(ブックカバー、本好きなのに持っていないことをしっていた)、とかく上の妹は思いつかない。3人兄弟の真ん中を務めている妹は、ワガママな兄と妹に揉まれ、いつしかあまり自己主張をしなくなってしまった。もしかしたらもとからの性格かもしれないけれど。


とりあえず、こっちも本好きなので栞を贈ることにした。


母から再び諭されないか。
この数日の勝負である。